■INSTALLATION TIME
インスタレーション・タイム
1989〜90年/16ミリ/カラー/サウンド/6分
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友人の造形作家柳井嗣雄氏の制作と個展(インスタレーション)を“時間経過”という観点から“ドキュメント”した作品。銀座の画廊内に設置(Installation)されたカメラが、柳井氏のインスタレーション(設置)作品と、それを鑑賞する人々を、展示されている期間の間中途切れること無く、コマどりで撮影し続ける。
リュミエール兄弟が発明したシネマトグラフは、カメラであり映写機でもある機械だった。映画は発明から百年以上経つのにカメラと映写機の基本的構造は変わっていない。今日のカメラ、映写機は一秒間に24駒の速度で撮影して、同じ速度で映写する。一秒について24分の一秒ずつ24回撮影、映写されていると思いがちだが、実際にはフィルムを送るためにシャッターを閉じるので、一駒につき48分の一秒程度撮影、映写されるのが普通だ。フリッカーを避けるため本当は一駒当たり98分の一秒を二回ずつ撮影、映写している。シャッターが閉じている間は撮影も映写もされていない。映画をスクリーンを前にして見る時、見ている時間の半分は映写機のシャッターは閉じている。一時間の映画なら30分は何も写っていない闇を見つめている事になる。
この作品の場合、多くはインターバルによるこま撮りだ。撮影時に何も写さずに過ぎていった時間の方が撮影した時間より遥かに多い。元々、どのような撮影速度であろうとシャッターの構造からも、経過する全部の時間を“ドキュメント”するのは不可能なのが、目の前にあるものを“記録”する欲求から誕生した映画なのだ。 |