■段・ボール
1989年/16ミリ/カラー/サイレント/9分
協力(美術家):藤村克裕
美術家藤村克裕氏は当時、段ボールを使った立体作品を作っていた。弓型に切った段ボールを接着して繋げていき、長い筒状の物にして、更にそれを丸めてボールにした。ダンボールでボールを作ったのだった。撮影は2005年6月急逝した友人の陶芸家青木亮氏の工房の二階で、ある夏の暑い日に行なった。始めに、制作の過程を撮影し、その後その制作過程が写し出される同じ画面内のテレビモニターと、外の景色が見える窓が多重露光で撮影された。出来上がった画面では、制作の様子が写し出されているテレビモニターと、外の景色が見える窓の前で“段・ボール”を制作する藤村克裕氏が居る。
テレビモニターを合成にしたのは、藤村氏の制作風景をフィルム・カメラのコマ速を変えながら撮影したからだった。定速での撮影なら、同時進行でテレビ画面にビデオカメラで撮影している映像を出せば良いからだ。
撮影中の室内は照明の熱も加わって信じられないような暑さだったが、出来上がった画面は、窓の外の風景が涼しそうなこともあって、意外と暑さは感じられない。 |