■CHAISE PLUS
シェーズ プリュス さらに椅子
1987年/16ミリ/カラー/サイレント/4分
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写真術が映画を誕生させた母だとすれば、アニメーションは映画の父かもしれない。フェナキスティコープやゾーアトロープは、平面上の動かない絵を、動く“映像”として見せた最初の装置だった。その後プラクシノスコープ劇場を発明したエミール・レイノーは、帯状のフィルム(パーフォレーションが付いていた)に手描きの絵を描き、それを動く絵の形で映写するテアトル・オプティック(光学劇場)を自ら主催し、パリで1892年〜1900年に50万人の観客を集めた。1895年、リュミエール兄弟によって発明されたシネマトグラフが登場すると客はそちらへ流れ、失意のレイノーはテアトルオプチックの装置と作品をセーヌ河に沈めてしまう。そういう訳で、レイノーの作品は現存しないが、ジョルジュ・サドゥールによれば“かくもいきいきとした、完璧で永続性のある映画は、成熟期のウォルト・ディズニーの作品の出現まで現われなかった”
話がやや脱線したが、アニメーションが動いていないものを動いているように見せるための技法であるとすれば、それは、映画そのものであると言っても良い。何故ならば、映画の一こまを見てみれば、それが静止した絵であることが解るからだ。
この作品では、現実を写真的に再現するというリュミエール的技法と、一こまずつ、ずらしながら撮影し、動いていないものを動いているように見せるアニメーション的技術が併用されている。ただしかし、普通考えるアニメーションと多少の違いがあるとすれば、アニメートされているのが自分で動く事が出来る人間だという点だけだ。 |