作品
経歴
論文
Yo Ota 実験映画作家:太田 曜
作品|STUHL

 

■STUHL
1986年/16ミリ/カラー/サイレント/6分

 アニメーションの技術は、写真術、映写投影の技術と共に、映画を誕生させた基本的発明の一つだ。一連の動きを一つ一つに分解して、それを一定の間隔で次々と見せると、連続したひとつながりの動きとして見える。動きを分解して、一定の間隔の別々の絵に分けるのだが、その際どのぐらいの間隔にするのかによって動きとして再現されなくなる。間隔が広過ぎると、間を繋がっているように見ることが出来なくなるのだ。これは、例えば映画のコマ速を何コマにするのかと云ったこととも関係がある。

 一方で、コマ撮りをする場合、物を画面内でどの位ずらしていくと滑らかな動きになるのかでは、おそらく“ブレゴマ”が問題になると思われる。コマ撮りの場合、撮影対象の物が“ブレ”て写ることは通常無いからだ。実写で早い動きが写っているフィルムの実画面を観察すれば、撮影コマ速が余程多い(つまりはシャッター速度が速い)か、ストロボ等で“ブレ”を止めていない限り、画面は流れている筈だ。

 この作品では、“普通のコマ撮り”を使って、いわゆるアニメーション的な動きから、それが崩れていく様子、そして又元へ戻ることを見ることが出来る。コマ撮りによって作られる見せ掛けの動き、“動きの錯視”は、一定の条件が整った時にだけ現れる。映画はこの条件の中で“動きの錯視”を作り出す技術を発展させて来た。


作品|STUHL
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