作品
経歴
論文
Yo Ota 実験映画作家:太田 曜
作品|TEMPS TOPOLOGIQUE

 

 

■TEMPS TOPOLOGIQUE(位相的時間)
1981〜82年/16ミリ/モノクローム/サイレント/11分

 1982年に行なわれた第12回パリ・ビエンナ−レ展には実験映画の部門があった。その頃制作していた作品を完成させて『TEMPS TOPOLOGIQUE』という題名を付け、公募に出したところ幸運にも入選した。賞品替わりに作品と同じ長さ分の生フィルムを主催者から貰った。おそらくは、その後もそのフィルムを使って作品を作り続けろ、という主旨だったのだろう。おかげで、ずっと作品を作り続けている。公募の審査をしていたのはドミニック・ノゲ−ズ達だった。生フィルムは彼らの考えた粋な計らいだったのだろうか。パリ・ビエンナーレでは、この回を最後に実験映画の部門は無くなってしまう。ヤン・ボーヴェやクリスチャン・ルブラ、ジャン・ミッシェル・ブーウー、が出品していたことはその後知った。そして、別枠で日本から森下明彦、伊藤高志、等が出品していたことを知ったのはもっと後のことだった。

 作品は、その頃ずっと気になっていた月が、画面内に多重露光で合成されている。夜の森を歩く男と、クリスマスの飾りが付いたモンテ−ニュ通りが月と共に画面に出現する。
 巨大な月を撮影する為に、スティ−ル用の500ミリ反射望遠を使ったことがあった。画面ほぼ一杯に月を捕らえることが出来るのだが、地球の自転に従って月が動くので、月はすぐに画面から消えてしまう。地球の自転の早さを実感する瞬間だった。赤道儀を買って、本格的な月観察映画を作ろうと思ったのはこの頃だ。いろいろあって、結局赤道儀を買うことはなく、月を観察することも徐々に少なくなっていくのだが。


作品|TEMPS TOPOLOGIQUE
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