■UN RELATIF HORAIRE
アン レラティフ オレール/時間的相対
1980年/16ミリ/カラー/サイレント/2分
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パリ第8大学映画学科に通い始めた頃の作品。それ以前も日本で、8ミリ/16ミリの作品を何本か制作していたが、時間(映画画面内の空間と運動)操作を主要なテーマにした作品としては実質的な第一作。
夜空の月は歩いている我々をどこまでも追いかけてくる。本当は月も動いているのに、人間の目がその動きを捉えるには、月は余りにも遠く、その動きは余りにも遅い。それはほとんど我々の意識には動いていないと言うのと同じだ。
時間という概念が、空間に於ける運動の関数という形で成り立っている以上、動いているものと静止しているものが同時に存在する世界の中にしか、動いているものも、静止しているものも存在しない。
セーヌ河の遊覧船バトー・ムーシュからパリの夜景を移動撮影。望遠レンズで別撮りした月が画面内の同じ位置に合成されている。セ−ヌ河の遊覧船バトー・ムーシュには夜の便もある。強力な水銀灯とナトリウム灯で岸を照明しながら進んでいく。ISO 40 しかなかった当時の16ミリ・リヴァーサルフィルム、コダクローム40でもちゃんと写すことが出来る位その照明は強力だった。岸の風景と月は別々に撮影したのだが、カメラ内での多重露光だった。船は橋の下を通るので、その時は合成した月が橋の中に入ってしまう。本当はワンカットにしたかったが、その部分だけカットせざるをえなかった。 |