松山祐太 1530@jcom.home.ne.jp
■STUDIO 〒192-0156 東京都八王子市上恩方町4319 Tel/Fax: 042-652-2669
■発注方法 |
サイズの小さいものでしたら、寸法と、もしイメージが有りましたら、そのイメージなどを教えていただければ、制作に取りかかれます。什器等の大きなものの場合は、直接御会いして、打ち合わせをしてからの方がよいと思います。
他にも方法は有ると思いますので、メールか電話をいただければ、御相談に乗らせていただきます。 |
■略歴 1953年 生まれ
1978年 東京造形大学彫刻科卒業
1983年 楡の木画廊/個展
1984年 かねこアートG1/個展
1985年 真木画廊/個展
1986年 千葉県立美術館『あ・はれ』展
1986年 ギャラリー葉/個展
1986年 東京都美術館『原風景』展
1986年 田村画廊/個展
1987年 アクシスギャラリー・アネックス2/個展(照明器具)
1993年 淡路町画廊/2人展(照明器具)
1996年 ギャラリーアメリア/個展(照明器具)
1997年 リビングセンターOZONE リビングデザイン・ギャラリー/2人展(照明器具・等)
1998年 リビングセンターOZONE リビングデザイン・ギャラリー『魅惑のカガミ展』
1999年 リビングデザインOZONE リビングデザイン・ギャラリー『ポスト展』
2003年 ギャラリー元町/個展(照明器具・什器)
他にいくらでも素材はあるのになぜ鉄なのかと、ふと考えることがある。その理由の一つとして、幼い頃よく見に行った近くの駅の風景の記憶があって、それが関係してるような気がしている。結構山深い田舎町の小さな駅だったが、そこはその路線の終着駅だったために、操車場があり、機関車の方向を変えるための大きな装置があったり、小さいながらも修理のための棟があったり、給水塔があったりで、子供の好奇心を飽きさせることがなかった。その中でもなんといっても蒸気機関車の存在である。今になって思うに、その年頃の子供が皆そうであったように、乗り物としてのあこがれはそれなりにあったと思うが、それよりも、あの黒くて大きな鉄のかたまりをただの乗り物じゃなくて、感情を持った生き物のようにみてたところがあったような気がする。それはまるで鉄の大きな生き物がシュウッシュウッと呼吸しながら、じっと横たわっているようだった。
大人になった今なら、少し情緒的な言い方になってしまうが、鉄の醸し出しているシャイで、言葉少なで、ストイックな表情に魅力を感じている、などと言葉で表現することができる。でも幼かったあの頃は、何もわからずただ五感の感じるがままに、鉄の蒸気機関車や鉄だらけの操車場が発している、鉄からのオーラのようなものを感じていたのだと思う。あともう一つは、匂いだ。あの頃の線路や駅やホームなどすべてが、うっすらと赤茶色をしてた。鉄の錆び色である。たぶん線路と車輪が擦れて生じた鉄粉が少しずつ付着して、そしてそれがしだいに錆びたのだろう。そのせいで線路や駅は、いつも鉄の錆びた匂いがしていた。
その幼い頃の、初めての鉄との出会いで芽生えた様々な感情が、まだ幼稚な私の脳に刷り込まれて、根本的な核の部分は変質してしまうこともなく、まるでスープのように煮詰められ、年齢と共に自分の心の深いところで、鉄に対する気持ちとなって大きく成長し、今に至っているのだろう。
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